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コアディレクターの使命とは3

私利私欲に走る編

一週間前に12ページのグラント無理くり書き上げ、廃人モードからやっとこさ脱出、

通常業務に戻ってきたところです。このグラントというのが私利私欲のはず(自分の研究費を取ってくれば自分で好きな人を雇って好きな研究ができる)だったのですが、この論理に隠されていた罠はですねー、ズバリ「グラントはそれ相応の投資をしないと通らない」という、冷静になってみれば至極当たり前の話。それ相応のマンパワーとお金を注ぎ込んでデータや論文を出し、12ページを無理くり書くんじゃなくて、ビジョン、構成、予備実験データなど、数ヶ月はたまた年単位で心血注ぎ込んで得た成果をこれでもかってぐらいてんこ盛りにした人ですら、通るか通らないかっていう狭き門の世界なわけですよ。NIHの採択率10%とかですもんね。私みたいなポスドクもスタートアップマネーも何もないパートタイムアシプロがバタバタ書いたって通るわけがないですよね。

私利私欲=肩書きや給料アップという目で見た場合、手っ取り早いのが昇進すること(私の場合assistant professorからassociate professorになること)ですが、ボスには以前「自分のグラントがないと昇進させられないねえ。前例がないからねえ。」と言われてて、それも踏まえての私利私慾=グラント書きだったのですが、ない時間とお金をやりくりしてグラント書いても落選続きで徒労感ばかりが募りますです。

そんな愚痴をある日大学のトップの先生に会う機会があってこぼしていたら、「あら、公衆衛生のファカルティーはグラントなくても昇進できる仕組みになってるって話よ。私からあなたのボスに言ってあげるわ」と言われ、その翌日にはボスが「昇進のことだけどー、グラントなくても大丈夫だからー」といきなり豹変して見せましたとさ。はー、でもまた例によって口だけの可能性もあるから、当てにはしませんけどね。

公衆衛生は、生物統計などの解析の専門家集団を揃えていて、基礎生物学者や医師研究者に解析サービスを提供しつつ彼らのグラントに何パーセントか入れてもらうというビジネスプランで、自分のグラントがなくても、誰かのにヤドカリできれば十分、という評価体制のようですね。それを言ったら私も同じストラテジーで来てるわよー。毎回NIHの締め切りが近づいたら何人ものPIのグラントを読み、バイオスケッチやらサポートレターやらを書き、採択率10%の厳しい現実を目の当たりにしながら(今までの5年間で協力したグラントは100を越えると思いますが、通ってるの10個ぐらいだもんね)、チマチマと日銭を稼ぐ暮らしなわけです。現時点で合計20%ちょいが人様のグラントでペイしてるんじゃなかったっけかな。

私の所属してる学部は、私みたいなサービスをメイン業務にしているファカルティーは2−3人いるだけ、しかも私以外はどちらも昇進とか昇給にギラギラしてるタイプではなさそうで、「グラントとか書いてるの?」と聞いても「そんな時間ないし」と完全に諦めてる様子。。。お客さんからしてみれば、グラントなんか書いてないでしっかりサービスして欲しいと思うでしょうけど、グラント書かないと一生ヒラのママだよというお上の矛盾をつきつけられたら、「え?サービス頑張っても評価されないってこと?」「それじゃーサービス手抜いてやる!」と言いたくなる気持ち、おわかり頂けますよねー?

かと言ってグラントは書けども書けども通らずというどっちつかずなこの1−2年。まさに迷走するコアディレクターでございます。

前回話したテクニシャンの補充もまだ応募が出てない状態。

さあ、どうなる!?!?!?